腰椎分離症・すべり症

背骨を構成している”脊椎”になんらかの負担がかかり、壊れたり分離してしまい、その分離してしまった骨が前後にずれて痛みが出てしまうものになります。

細かく解説をすると、背骨は脊椎と脊椎がつながって出来ていて、分離症はつながっている部分である上関節突起と下関節突起がずれてしまうことを指します。

また、特に多く発症する部位としては、腰部の脊椎に発症する事がほとんどになります。

 

普通、人の背骨は脊椎と脊椎がまっすぐにきちんと積み重ねられた状態ですが、何らかの原因で脊椎に負担がかかり、脊椎が前方や後方に動いてしまうことを言います。

特にすべり症の多い部分は、腰椎の4番と5番に多く発症します。

一回の力で発症する場合は、交通事故などの強い外力が加わった時のみになります。

ほとんどの場合は、日頃からの負担が積み重なることで少しずつ脊椎がずれてしまい、その結果として神経などに触れることで圧迫され、痛みや痺れなどの様々な症状が出てしまうものになります。

 

分離症、すべり症のどちらの場合でも強く発症してしまうものが『腰痛』になります。

また、長時間立ちっぱなしや座りっぱなしの状態での作業や、歩き続けること、重たいものを持つ力仕事をしていると悪化してしまいます。

 

 

・坐骨神経痛などの腰から足先にかけての痺れや放散痛

 

すべり症で起こりやすいのは、『坐骨神経痛などの腰から足先にかけての痺れや放散痛』です。脊椎のまわりにある神経が脊椎の位置がずれる事により圧迫されてしまい、痛みや痺れに繋がってしまいます。

 

 

・間欠性跛行

 

分離症、すべり症どちらも起こるものが『間欠性跛行』で、脊椎が滑ってしまったり分離してしまうことで脊柱管を圧迫してしまい、歩行時に痛みが出てしまうことがあります。

 

 

離症・すべり症が起こってしまう原因

 

・分離症

 

分離症の場合は、生まれたとき既に脊椎が離れてしまっているということは珍しく、ほとんどの物は、幼少期から腰に多く負担のかかるスポーツを繰り返し行うことで発症してしまう「疲労骨折」が原因の場合が多いです。

 

・すべり症

 

ほとんどの原因が加齢だと考えられています。

年齢が進むにつれて、脊椎を支える役割の筋肉や靭帯などが支える力が弱くなり、発症する場合が多いです。

 

 

分離症・すべり症に行われる一般的な対処方法

 

1,固定し、安静にする

痛みを感じてから最初の段階で行われる対処方法になります。

腰や脊椎に負担のかかるスポーツや動作を控え、痛みの強い部位を安静に保ち、極力痛みや痺れがおこらないように神経の圧迫を軽減する目的で行われます。

強く固定する場合は、コルセットを用いることで変形の進行を防ぐ効果もあります。

しかし、全く腰部を動かさないとなると、長時間同じ姿勢が続く事にもなりますので、逆に腰痛の症状を増長してしまうことにもなってしまいます。その場合は、適度なウォーキングなどの運動を行うことも効果が出ます。

 

2,物理療法

物理療法は、分離症・すべり症のどちらでも主に行われる対処方法で、痛みや痺れのある部分へ超音波や低周波のような種類の電気を流す治療がメインになります。

電気をかけることで、固まってしまっている筋肉の緊張を取り、ずれてしまっている脊椎を元の位置に戻しやすくしたり、痛みや痺れを一時的に弱める効果があります。

他にも、患部を温めるホットパックなどで血行を良くし、痛みの緩和を促すものもあります。

 

3,薬物療法や手術療法

薬物療法も多く用いられている治療法になります。

痛みや炎症が強い場合は、消炎鎮痛剤を使用します。

筋肉の硬さが慢性的な痛みの原因になっている場合は、筋弛緩剤を使用します。

その他にも、末梢循環促進剤や向精神薬などの薬も処方される場合があります。

分離しているところや滑っているところに神経ブロック注射を行い、痛みを一時的に緩和させることもあります。

以上の対処方法でも効果がなく、生活に支障をきたしてしまうほど強く症状が出てしまう場合や膀胱障害、直腸障害が起きてしまった際には、最終手段として手術が行われる事もあります。